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2011
02.09

チベットの風

 DVD『チベットの風』を観た。
 冒頭に「ただ真実を知りたい一心で、私はカメラを片手にチベットに向かった」とある。
 撮影したのは「日本に住む一般の日本人」である。
 以後、Aさんとしておく。
 本人の姿はカメラに写っているが、撮影に協力した現地の人々は、身の危険が予想されるため、本名はもちろん、顔も一切明らかにされていない。
 14年前の映画『チベット チベット』では多くの人々が写っていた。
 中国政府による恐怖政治は弾圧の度を強めている。

 Aさんは、33年間の拷問に耐えたチベット僧パルデン・ギャッツォ氏の講演を聞き、平成18年、チベット行きを決意した。
 パルデン・ギャッツォ氏の生涯は「雪の下の炎」という書籍とDVDになっている。 

 観音菩薩の住まう宮殿とされるポタラ宮は、ダライ・ラマ法王亡命後、一大観光地になっている。
 平成18年3月のチベット人による抗議行動以来、周囲は警察と軍に警戒されている。
 町には硬い空気が感じられる。

 富士山と同等の標高にあるので高山病に罹り、3日間、飲まず食わずの状態で、チベット人の案内を探した。
 なかなか見つからなかったが、ようやく亡命経験があり英語の話せるチベット人と出会った。
 周辺には立派な道路ができ、道路際は真新しい整然とした町並みになっているが、3年前に政府が新築を義務づけたことによる。
 日本円にして一軒あたり700~800万円かかる。
 政府が半額を払い残りをチベット人が払うが、中国人の半分ほどしか給料をもらえないチベット人には支払い困難である。
 チベット人住民は次々と整備される道路を歓迎していない。
 ネパールやインドへ物資を運ぶのが目的であり、それで儲ける中国人の役にしか立っていないからである。

 一人っ子政策は厳しく、子供は二人までしか認められず、それ以上になると税金がかかる。
 しかし、チベットに住む中国人は例外であり、子供は5人でも6人でも構わない。
 チベット人の住民を減らし、中国人の住民を増やすためである。
 チベットに住むチベット人は600万人、中国人は750万人と言われている。
 住民はこっそり言う。
「私たちは、幸せではありません」。

 チベット人の半分は教育を受けられず、教育を受けていないと仕事に就けない。
 ラサでは一部のチベット人に教育の機会が与えられるが、東部や西部の放牧民や農民は学校へ行けず、職がないので食うや食わずである。
 3年前に鉄道が開通し、大量の中国人が来た。
 レストランなどの店のほとんどは中国人が経営している。
 仕事にありつくのは70パーセントが中国人であり、サインすらできないチベット人は排除されている。

 チベット人の放牧民や農民は強制的に、政府の指定によって移住や定住を余儀なくさせられている。
 放牧などが生態系を破壊しているという名目だが、自然の破壊は気候変動が主な原因であり、チベット人は半農半牧で自給自足の生活をずっと続けてきた。
 強制移住させられた人々は生きるために中国人から仕事をもらうしかなく、100万人以上のチベット人は失業・貧困・アル中などで苦しむ。
 中国政府は、堂々と発表している。
「農民と放牧民の強制改革は、経済成長の促進だけでなく、ダライ・ラマの影響力に対抗するためである」。

 もうすぐ空港もオープンする。

「3月14日にチベット人のデモが起こりましたが、チベットで放送されたのは大勢の中国人が殺される場面だけです。
 当時、3日か4日の間に3000人ものチベット人が殺されたのに、政府は決して発表しません」。

 チベットの三大寺院であるデプン寺・ガンデン寺・セラ寺を訪ねた。
 セラ寺には明治から大正にかけて、多田等観、河口慧海などが日本人として始めて訪れ、学んだ。
「中国人が文化大革命で来る前は、5000人ほどの僧侶が住んでいました。
 その後、死んだり、殺されたり、亡命したりして、今では250人になりました」。
 修行僧は20分の1になったのである。
「政府はこれ以上、僧侶を認めないので、チベット人は皆、心配しています。
 寺院の破壊や僧侶の殺戮は、文化大革命が行ったのです」。
 しかし、実際は1958年頃から侵略が行われ、僧侶は強制的に還俗させられ、寺院は破壊され、寺院はその機能を失わされていたのである。
 昔のことを知らないチベット人は、政府による「一連の破壊や僧侶殺戮は文化大革命のせいであり、中国政府に責任はない」という歴史教育によって洗脳されている。

「不幸や問題などがあれば、僧侶へ2千,3千、6千元などのお布施をします。
 僧侶は法要や祈りを行います。
 参拝者は賽銭箱にわずかな寄附を行います。
 一年経つとこれらのお金が集められ、仏像再建やお寺の装飾などに使います。
 政府からの補助はありません。
 観光客の拝観料は、お寺に30パーセントだけが与えられ、ビジネスを行わない僧侶たちにとってそれが全収入です」。

 寺院は、明らかに、観光資源に過ぎなくなっている。



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「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。





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