宮床開運守本尊 大師山 法楽寺 〜法灯により法友とともに法楽に住せん〜

2008-08

怨霊・お焚き上げ・共業

 鹿児島県在住の女性Kさんから電話がありました。
「体調の不良を知った女性同僚から『怨霊を祓わないと子供が危ない』と聞かされ、連れて行かれた祈祷所で言われるままにお金を納めてお守をもらったのですがいっこうに良くならず、結局、医者に行って完治しました。
 お守はもう捨てたいのですが、霊能者の同僚が見張っているようで、このあたりでは処分できません。
 お送りすれば、お焚き上げをしていただけますか?」

 似たようなご依頼は、さみだれ式に続いています。
 いまだかつてないほど煩悩が解放された今の時代、急に人びとの霊性が開発されたとはとても思えません。
 むしろ、妄想がテレビなどで面白おかしく、しかも堂々と語られているので、妄想を口にすることが「はばかられない」時代になったのだろうと判断しています。
 それは、他人の心を「おもんばかる」姿勢が薄れ、イジメが常態化したことと表裏一体です。

 最近、こうした世情を利用して急成長したお焚き上げ業者が摘発されました。
 業者によっては仏壇すらもゴミと一緒にどんどん捨てるなど、さまざまな問題があるというのは有名な事実でした。
 当山がお焚き上げの場を造ったのは、悪業による悪果は悪徳業者と依頼者だけにもたらされるのではなく、共業(グウゴウ)として社会へも悪影響を与えるからです。

 なお、当山における「祓い」は、単に「憑いた怨霊などを切り放って清々しくなれば良い」というものではありません。
 怨霊にもっとも必要なのは怨みを解き放つ太陽のごとき慈光であり、迷いを知る智慧です。
 み仏の慈悲と智慧は過去世、現世、未来世に通じ、この世とあの世を同じく救います。
 祈祷法も、加持法も、供養法も、原理はここにあります。
 修法は、常に、「北風と太陽」における太陽のようなみ仏のご加護をいただきます。

 Kさんから送られてくるお守に修法すれば、悪因縁が消えてKさんが安心できるだけでなく、霊能者気取りの同僚も祈祷所も、ご加護の陽光によって善き方向へ向かう機縁を得ることになりましょう。
 業は共業の因となることを忘れずにやりましょう。
 善き業を積み、共に、善き共業の世界で暮らせますよう―――。

思いを断ち切るお焚き上げ

 東京から帰山したところ、小さな茶封筒と紙包みが届いていました。
 奥さんのいる男性Wさんからのご依頼は、棄てきれずにいた手作りの御守をお焚き上げして欲しいとのことです。
 10年前に別れた彼女からもらった思い出の品なので、どうしてもゴミとして処分する気にはなれなかったそうです。
 そして、彼女もすでに幸せな家庭を築いており、お焚き上げの修法をもって「彼女への思いも断ち切って欲しい」と綴られていました。
 美しい心を大切にし、心の込められたものを大切にし、そして、きちんとけじめをつけながら前へ進もうとする、そうした方の願いにお応えできれば寺院として本望です。

 こうしたご縁につながるネットの発達はまことにありがたく、智慧の持つ可能性が無限であることをあらためて実感させられました。
 
 Wさん。
 これから修法します。
 返事の出しようはありませんが、法力はきっと貴男の心へ届き、いつであれ、手を合わせられれば心に清浄な風が流れることでしょう。

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お焚き上げをし忘れた古いお札

 この時期になると、古いお札などの処置をし忘れたという方からのお焚き上げ依頼があります。
 病気や出張といったやむを得ない事情の方も、うっかりした方も、あるいはずぼらにしていて後から不安になってしまったという方もおらます。
 いずれにしても、きちんとすべきことはきちんとしておく生き方が大切であり、時期遅れになってもお焚き上げをすべきです。

 放っておけばが当たるかどうかについては、『NHK文化講座講義録7 ―仏法の基本その2―』に書いた山岡鉄舟の故事をお読みください。
 何もおどろおどろしい話や、霊感などを持ち出すまでもなく、ものの道理として理解できることでしょう。

 また、不安は非常に大切な感覚であり、そこには生き方への警告や、生き方を変えるヒントが隠されていたりするものです。
 良心からの警告や仏神からの誘いだったりするということです。
 そうしたものを無視したり蹴っ飛ばしたり、あるいは後ろ向きだとバカにしたりして、ただただ「前向きに!」と突進するだけでなく、こうした「兆し」を大切にしてこそ、人生を深められるのではないでしょうか。

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古いお札のお焚き上げ

 関西在住のAさんからお問い合わせがありました。
 これまでも、何人もの方から質問を受けたので、明確にしておきます。
お札お焚き上げをしてもらおうと考えています。でも、お正月に受けたお札を、今、お焚き上げに出してしまうと、新しいものが届くまでの間、家にお札がなくなってしまいます。どう考えれば良いのでしょうか?」

 当山のホームページにある『お焚き上げ』の覧は、こう結んであります。
「皆さんの清らかなお気持が御霊へ、そして、み仏へ通じるよう祈りつつ、かけがえのないお品を聖なる火へと託します。」
 また、『法楽かわら版12月号』のご案内へはこう書きました。
「当然ながら、燃やすことが仕事ではなく、お不動様の修法なので、ご志納金については皆さんの良識と常識にお任せ申し上げます。」

 それは、導師が大日如来の使者である不動明王と一体になる法へ入り、お焚き上げを希望される皆さんのお心になって、それぞれの願いや祈りや感謝をみ仏へお届けするということです。
 密教の法の中では、み仏(ご本尊様)と、衆生(願いを持つ善男善女)と行者(導師)は一体です。
 だから、たとえば、退院できたので当病平癒のお札お焚き上げしたいという方のためには、感謝をもって炉へ入れるので、それがみ仏へ通じます。
 たとえば、新たな恋が生まれたので過去の清算をしておきたいという方のためには、因縁を切ってから炉へ入れるので、それがみ仏へ通じます。
 また、今回のように、新年のお札を受ける前に古い家内安全のお札を処分したいという方のためには、変わらぬ家内安全の祈りとこれまでのご加護への感謝をこめて炉へ入れるので、それがみ仏へ通じます。
 解消すべきものは解消し、継続したいものは継続したまま、形あるモノを天地へ還す修法にあっては、冒頭のようなご心配にはおよびません。

 大切なモノは、処分においても心をこめて対処したいものです。

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お焚き上げと新たな首途

 信徒Kさんがお子さんを3人連れて来山されました。
 ようやく、亡き奥さんの遺品を処理しようという気持になったのです。
 本堂へ運び込まれた段ボール6つの中には、衣類や身の回り品などがぎっしり入っています。
 木製のベッドは、当山で小さく切ってお焚き上げしても結構ですと申し上げましたが、「それではあんまりなので、自分でやります」とのこと。ご自身でバラし、後日あらためて持参することになりました。
 一言も発せず神妙に座っている皆さんの前で、早速ご供養の修法を行いました。
 また、人形など遺品の一部はお墓へいれてやりたいというご希望により、お墓の結界を外して石屋さんにカロートの蓋を開けていただき、自然へ還る範囲のお品を少々納めました。
 あらためて結界を張り供養を行う修法が済んだ時、Kさんは、心なしか、ホッとして力が抜けたような顔をしておられました。
 後姿を見送りながら、家族4人の新たな首途(カドデ)にご加護があるよう祈りました。

 当山のお焚き上げは、不要品を燃やす仕事ではなく、皆さんの心をみ仏の世界へ、あるいは御霊の世界へ届ける法務です。
 また、モノにからんだ因縁を解き放つ法務です。
 大規模な焼却炉を用意し、不動明王をお祀りして高さ五メートルにもなる屋根までつけようとしているのは、本格的な修法で供養や清めを行い、それを皆さんの目と耳で実感していただきたいからです。

 思えば、十三仏に守られる共同墓『法楽の礎』を造る時も、似たような成り行きでした。
 一軒一軒托鉢をしているうちに、合祀というものが、「跡継ぎがいなくなったので仕方なくお墓を撤去したから」とか「寺の都合で動かさねばならなくなったから」といった状況で、墓地の片隅に造った塚程度のところで行われていることに納得できなかったからです。
「お墓を持たず合祀のところで眠ろう」あるいは「跡継ぎがいないから、夫婦一緒に合祀墓へ入ろう」あるいは「息子たちと宗教が違うので、余計な心配や気苦労をさせたくない」といった積極的な気持で合祀を考え、希望する方々の願いにふさわしいものを用意するのが寺院の使命であると考えたからです。
 イメージを固め、願いを持って祈っているうちに賛同する方々が現れ、思いがけずに望み通りの合祀墓ができました。
 もちろん、壇信徒さんたたちへ頭割りのお布施依頼はしませんから、今も一肌脱いでくださった業者さん方へ支払いを続けています。
 
 今回も、〈本格的な修法を主としたお焚き上げの施設〉を造りたいという願いへ力を貸してくださる方が現れ、不動法の場にふさわしい形ができ上がりつつあります。
 Kさんのような敬虔な心を持った方々の願いにお応えできるよう、協力者の方々の篤いお心にお応えできるよう、これまで以上に修行を重ねねばなりません。

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