宮床開運守本尊 大師山 法楽寺 〜法灯により法友とともに法楽に住せん〜

2008-08

樹の実 1

 昔むかし、ある村はずれに、珍しい一本の樹がありました。
 一年に一個だけ、とても大きくておいしい実をつけるのです。
 村にはたくさんのがあり、木の実を食べる順番に決まりごとを設けていました。
 中に重篤な病人の出た家が五軒あった場合、翌年の秋、中のメンバーが木の実を分けて食べることができるのです。
 慰労を目的としたあいまいな決まりなので、行司役の村長さんは大変です。
 次々と申し出るにどうして順番をつければ一番公平になるか、いつも頭を悩ませていました。

 ある年の暮、5軒しかメンバーのいない小さなでこんな謀(ハカリゴト)が行われました。
「俺たちのでは4軒、病人が出た。もう一軒あれば、あの木の実を食べられる。五助さんの家では病人が出なかったけれども、病人が出たことにしようじゃないか」
 ところが、重病人を抱えた気の毒ながいくつもあることと、村長さんの苦労をよく知っている五助さんは謀に乗りません。
 五助さんは村八分にされかけました。
 
 皆がおいしい木の実を食べたいことを知っている五助さんは、遠くの村にいる知り合いから似たような樹があることを聞いていたので、わざわざ持ってきてもらい、を守る神社の境内へ植えました。
 秋になり、移植した樹は珍しい樹によく似た実をつけたのに、中のメンバーは面白くありません。
 こうした樹があれば、珍しい樹の実を食べる順番がさらに後回しにされると考えたからです。
 2軒は感謝して実を食べましたが、残りの2軒は、五助さんが無断で樹を植えたことをなじりました。
 そして、村の有力者に頼み、来年は何としても珍しい樹の実を食べようと画策しました。

 続く………。

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Author:住職 遠藤龍地
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