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2014
03.02

勇気こそ地の塩なれや梅真白 ─人間・福島─

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〈『福島 土と生きる』からお借りして加工しました〉

 太平洋戦争末期の昭和19年、成蹊学園に奉職していた俳人中村草田男(クサタオ)は、教え子を戦地へ送り出す際に詠んだ。

勇気こそ地の塩なれや真白」


 地の塩は、聖書に登場する。

「あなたがたは地の塩である。
 だが、塩に塩気がなくなれば、その塩は何によって塩味が付けられよう。
 もはや、何の役にも立たず、外に投げ捨てられ、人々に踏みつけられるだけである。」

 イエスは、信徒となった者たちを祝福した。
 神を信じる者は、この世に生気も潤いももたらすであろう。
 しかし、信仰を失えば、塩気のない塩のような役立たずになるというのである。

 時に草田男43歳、洗礼を受けたのは82歳で死ぬ前日であり、いかなる思いで教え子たちへ「地の塩」と言ったのかはわからない。
 ただ、寒風の中で花開いた真っ白なから、もろもろの思いを振り切って出撃する勇気をもらうよう祈ったのではないか。
 迷うのも、悩むのも、決意を固めるのも、地にあって生きる者ゆえである。
 そうして〈在る〉ことがすでに、地の塩として生き生きと生きている証拠である。

 草田男は、東大俳句会に入ってから東京都の母校青南小学校を訪ね、決定的な一首を詠んだ。
「降る雪や明治は遠くなりにけり」
 この時も、今年と同じく東京は大雪だった。
 降りしきる雪の勢いに呑まれ、時空の感覚が薄れてしまい、思わず出た言葉だったらしい。
 その13年後、教え子に手向けの句を詠むとは思ってもいなかったことだろう。

 草田男がはたらいた成蹊学園はその後、成蹊大学などへと発展し、現在の安倍総理や作家の桐野夏生や小池真理子などを輩出する名門校となった。
 まだ寒い東北の地では、の開花が鶴首されているが、同じを詠んだ梶井基次郎の一首も忘れられない。

咲きぬ温泉(イデユ)は爪の伸び易(ヤス)き」


 この句が生まれた昭和初期までは発展する日本があった。
 戦後、世界史に残る奇跡の復興を遂げた日本全体にも一時期、こうしたゆとりの日々があった。
 しかし、それはもう、急速に遠ざかりつつある昔の話。

 2月28日、インターネット上の仮想通貨ビットコインの取引所「マウントゴックス」が東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。
 およそ470億円が煙となった事態に、マルク・カルプレス社長は謝罪会見を行った。
 しかし、終始薄ら笑いを絶やさない様子に唖然とした向きも多かったのではなかろうか。
 少なくとも、被害者の精神的、物質的被害を、〈人間に起こったできごと〉として真剣に受けとめている様子はみじんも見られない。
 ことわざ「蛙の面に小便」を思い出し、昭和60年、悪徳商法で多くの被害者を出した永野一男豊田商事会長が二人の男に刺殺された事件も思い出した。

 大石芳野氏の写真集『福島 土と生きる』に目を通した。
 ここには、筆舌に尽くせない悲嘆があり、絶望がある。
 しかし、血の通う人間の不屈の精神もある。
 我々は、あの震災と原発事故で何を失ったのか?
 何に気づいたのか?
 そして、どこへ行こうとしているのか?
 どこを目ざすべきなのか?
 真の勇気とは何か?
 大石芳野氏は同著のあとがきに記した。

「土と共に生きる人たち、染みついた放放射能に抗(アラガ)い格闘を続ける福島の人たちと問題を共有し合うことの大切さを、福島で出会った多くの一人ひとりにカメラを向けながら、改めてしみじみと思う。」


 真っ白なが咲き、勇気をもらう時、血の通った人間として、よく考えてみたい。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。



「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA





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