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2014
03.15

私たちの心に差別意識はないか ─「ダライ・ラマ『死の謎』を説く」を読む(13)─

20140315014.jpg
〈岩出山の『森栖』さん〉

 平成6年、ジャーナリスト大谷幸三氏は、インドのダラムサラにおいて、ダライ・ラマ法王への質問を数日間かけて行い、回答をまとめた。
 それがテキスト「ダライ・ラマ死の謎』を説く」である。

第二章 輪廻転生(リンネテンショウ)の法則

2 転生の条件

心中した男女が来世を共に生きる可能性はあるか

「ここで心中する男女の話に戻ろう。
 私が言うことの真意は、その二人が、人としてあるいは動物として生まれ変わるに充分な善きカルマを積み重ねてきても、心中する瞬間においても、二人の強い愛情と一体感とを育てつづけ、それを保持しつづけていなければ意味がないということだ。
 そうしてはじめて、愛し合う二人に可能性が生じてくるということだ。
 共に生きられる来世が実現する可能性が。
 それが、たとえ人としてか、動物としてか、あるいはまた昆虫としてかはわからないにしても。」


 この教えは、「悪しき感情と共に死んではならない」に続く、「転生の条件」の締め括りである。
 なぜ、これほどまでに、憎悪や忿怒などの悪しき感情を持たず、人を愛するという善き感情を持ち続けなければならないと説かれたか。
 それは、インドのカースト制が、愛し合う男女の前に巨大な壁として、いまだに、立ち塞がっているからに他ならない。
 インドの映画で圧倒的に人気を得ているのは、許されない愛の物語だという。
 たとえば、最高位の僧侶階級に生まれたとしても、皆が皆、聖職者になるわけではなく、商売人として生活する人もいるが、同じカーストの人間が作った食事しか口にできないとなると……。
 たとえば、最低の階級に生まれれば、結婚式を挙げることも葬式を行うことも、住まいの近くにある井戸を使うことさえ、極めて限定されてしまう。
 また、インドでは、いまだに男尊女卑の意識が強く、国際社会の非難を受けて最近、レイプは死刑となったが、今度は、その制度を悪用し、愛憎のもつれから男性を訴え、憎い男性を死刑台へ送るケースが激増しているという。
 お釈迦様が、人間の価値を〈生まれ〉ではなく〈生き方〉にしかないと繰り返し説かれたのも、ダライ・ラマ法王が、人間に共通の良心に従い、互いを思いやり、悪しき感情を持たずに生きようと訴えられるのも、人の世における差別の害悪が、この世とあの世の苦に深くかかわっているからである。

「しかし、こうしたさまざまな因子の働きを度外視しては、ただ単純に意志の力によっていては、この世で添い遂げられない男女が来世を共に生きようとしても、その願いは叶うものではない。
 事実を決定づける因子は無限である。
 それが仏教徒として言いえることである。」


 こうしたいという自分の意志だけが自分の運命の主人公ではあり得ない。
 意志の裏には煩悩(ボンノウ)が潜んでいる。
 意志がいかなる思考や感情からもたらされているのか、省みなければならない。
 いかに本気でやっていても、根本的に人の世へ苦をもたらすものであれば、自分の運命も社会の運命も暗い方へと傾く。
 また、世界が動いて行くところにはたらく〈理〉というものを考えてみなければならない。
 いかに本気でやっていても、〈理〉に合致していなければ報われ難く、意図せぬ結果をもたらしかねない。

 仏教徒は常に、いかなる時代、いかなる世にあっても変わらぬ普遍的道理を見つめ、そこから、生きる土台を創り続けたい。
 道理にかなった善き土台に立ち続けることが、自他を善き輪廻へと導く。
 インドという一つの文化圏における差別心中の様相は、私たちの心で巣くっているものに気づかせる。
 差別の業火は、対岸の火事ではない。
 3月8日、浦和レッズのサポーターが埼玉スタジアムにおける試合中、「JAPANESE ONLY」という横断幕を掲げ続け、関係者が処分を受けただけでなく、浦和レッズは無観客試合をせねばならなくなった。
 自他へ苦をもたらさず、来世への悪しき因子をつくらぬよう、差別や苦や悪について学び、考え、語り、行動したい。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。



「のうまく さんまんだ ばざらだん かん」※今日の守本尊不動明王様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=EOk4OlhTq_M





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