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2014
04.08

物質的な成功と精神的な充足とをどう求めるか ─「ダライ・ラマ『死の謎』を説く」を読む(18)─

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〈岩出山の『森栖』さん〉

 平成6年、ジャーナリスト大谷幸三氏は、インドのダラムサラにおいて、ダライ・ラマ法王への質問を数日間かけて行い、回答をまとめた。
 それがテキスト「ダライ・ラマ死の謎』を説く」である。

第三章 カルマの法則

2 平常心の心得

○物的、心的な両世界は不可分である

「今日、物質的な成功がすべてであると考えるのは、あまりにも無知な考えであると言わねばならない。
 経験が足りなさすぎるのである。
 もちろん、世界を見れば、物質的な窮乏の中で生きる人たちは多い。
 彼らにとって、物質的な必要が満たされることは大事なことである。
 そのことを疑っているわけではない。」

「だが、物質的な成功と精神的な充足とが完全にふたつに分かれて存在するわけでもない。
 これらは不可分に結びついて存在する。
 と言うよりも、物的、心的なふたつの世界は同じものの表現の違いでしかないのである。」


 4月7日付の産経新聞は、「孤立する男 暴走」というタイトルで、高齢者によるストーカー事件が10年で4倍になったと報じた。

「60代以上の高齢者が加害者となったストーカー犯罪が急増し、昨年は1919件と10年前の約4倍に上ったことが、警察庁のまとめで分かった。
 加害者の大半は男性。
 専門家によると、男性は女性に比べ、家族と死別したり、退職したりして心のよりどころを失った場合、孤立しやすい傾向にあるといい、最悪の場合、ストーカーに走る人もいるという。」


 警察庁の調査によれば、平成25年において、60代と70歳以上の合計で1919件発生しており、全体の9・1%に当たる。
 こうした傾向について、ストーカー被害者を支援するNPO法人「ヒューマニティ」(東京)の小早川明子理事長は言う。

「この世代は仕事一筋で打ち込み、激しい競争社会を生き抜いてきた人が多い。」
「男性は女性に比べて地域のコミュニティーなどにも溶け込めず、孤立してしまいがち。
 寂しさを埋めたいという気持ちから、女性に過度に期待してストーカーに走る人もいる。」
高齢者は社会的地位が高い人も多く、拒絶されることに慣れていない。
 恋愛がうまくいかないだけで行動をエスカレートさせてしまうこともあるのではないか。」


 はたらいて生きるのは、まず、自分の身体を養うことである。
 社会人として、衣食住も整えねばならない。
 また、家族を養う場合もあるだろう。
 そこに生きがいも、蹉跌(サテツ…しくじり)も、歓びも哀しみもある。
 やがて、退職後や老後を考え、自力で生き延びる準備を行う。
 そうして人生をまっとうしようとするのはごく自然な姿である。

 このように生活を確保しながら生きて老い、人生の最後に色情から犯罪を犯すとはどういうことか?
 ダライ・ラマ法王は、そこのところを、「物質的な成功がすべてであると考えるのは、あまりにも無知な考えである」と指摘された。
 他人様から後ろ指を指されずに生きるのは「物質的な成功」である。
 しかし、それが「精神的な充足」にもならねば、人生は真の意味で輝かない。
 ストーカー事件は、四苦八苦の一つである求不得苦(グフトクク…求めても得られないままならなさ)の表れであり、「充足」がない状態に他ならない。
 たとえ「社会的地位が高い人」になろうと、色欲や名誉欲などの欲望は内心の問題として一生、つきまとい、自分で自分の心をコントロールできない限り、暴発の危険性は死ぬまでつきまとう。

「物質的な発達は、生存を快適にし、物理的な生活の困難を小さくしてくれる。」
「それは、いずれ精神的な欲求の充足への道を切り開くはずである。」
「充足した精神生活は、物質的な豊かさを、より平衡のとれた正しい方向へと導いてくれることになるだろう。
 それは、より大きい恩恵をわれわれにもたらすであろう。」


 今日、たった今、自分の口へ入れるごはんがなければ、「充足した精神生活」は送り難い。
 衣食住がある程度、確保されてようやく、いかに生きるべきか、生かされている感謝をどう表現すればよいのか、といった方向へと心が広がる。
 この方向は、五欲(財欲・色欲・食欲・名誉欲・睡眠欲)に引きずられる方向とは違う。
 感謝から行動が生まれ、それが再び感謝を生じるといった循環が始まれば、ようやく「精神的な欲求の充足」がもたらされる。
 よき循環こそが「物質的な豊かさを、より平衡のとれた正しい方向」へと導くのである。
 ダライ・ラマ法王が「経験が足りなさすぎる」と指摘されたのは、心に巣くう五欲の恐ろしさに気づかず、それと対峙し制御する内心の戦いをせず、野放しにしたまま気楽に生きることを戒められたのではないか。
 それでは、真の生きがいや幸せをもたらす「物質的な成功と精神的な充足」はあり得ない。
 健康ブームで長生きをするようになった世代がストーカー事件を引き起こすのも、同じ高齢者としては、はなはだ残念ながら、むべなるかなと言うしかない。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。



「のうまく さんまんだ ばざらだん かん」※今日の守本尊不動明王様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=EOk4OlhTq_M





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