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2014
04.22

生まれたければ生まれてみよ ―平安と修羅と―

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 歌人宮柊二(ミヤシュウジ)は、太平洋戦争の敗戦から6年経った昭和26年、春の日を浴びてオタマジャクシになりかけているカエルの卵を見つけ、詠んだ。

「群がれる蝌蚪(カト…カエル)の卵に春日さす生まれたければ生まれてみよ」


 私たちは、一般的に、浅瀬にあって陽光を浴びているカエルの卵たちを見れば、「ああ、温かくなったなあ」「もう、カエルが出るのか」などと、ほのぼのした思いになる場合が多い。
 オタマジャクシが泳ぎ始めると、小さないのちたちの懸命な泳ぎぶりに見入ったりもする。
 いずれにせよ、知らぬ間に心が温まるものだが、宮柊二はまったくちがう。
「お前たちは生まれたいらしいが、この世がどんなところか、生まれてくればわかるだろう。
 生まれたいのなら、とにかく、生まれてみるがいい」

 宮柊二戦争に行き、囮(オトリ)を使って敵をおびき寄せ、息を殺して待ち、一気に刺し殺す接近戦を行った。

「ひきよせて寄り添ふごとく刺ししかば声もなくくづおれて伏す」


 相手が手の届くところまで来たならば、あたかも寄り添うように身体を寄せて刺すという。
 実践的な剣の稽古をした人ならわかるが、剣で相手を斃す〈突き〉の技は、腕を伸ばして行うのではない。
 自分を守ろうとして身体をこちら側へ残すへっぴり腰では、たやすく剣をはじかれるか、逃げられてしまう。
 捨て身になって身体を相手へぶつける勢いにかけなければ、技は役に立たない。
 昭和35年、17才の山口二矢は当時の日本社会党委員長・浅沼稲次郎を演説会の壇上で刺殺したが、第一撃は体当たりにしか見えない。
 高倉健は、クロード・チアリのやるせない音楽が流れる名作『冬の華』の冒頭で、やはり、ぶつかるようにして相手を斃している。
 いずれも手にしていたのは短剣だったが、軍刀でも同じことである。

 宮柊二は同時期に詠んでいる。

「うつそみの骨身(ホネミ)を打ちて雨寒しこの世にし遇ふ最後の雨か」


 どうにか生きている身体の骨の髄までしみ通ってくるような冷たい雨は、この世で天から受ける最後の雨になるのだろうか。

 生き延びて職場へ通う日々は危機と隣り合わせだった。

「毎日の勤務(ツトメ)のなかのをりふしに呆然(ボウゼン)とをるを我が秘密とす」


 毎日勤めにでかけ仕事をしているが、ふとしたおりに心がどこかへ飛び、呆然としてしまうことは、人に知れぬ秘密にしておくしかない。

「勤務よりかへりきたりて灯(トモシビ)のもとにわれは坐れりこころ危ふし」


 勤務を終えて妻と長男長女の待つ家へ帰り、家庭の温かい灯火のもとに坐している時、家族には知られないが、温かく平安な心とはまったく異質のものが兆してくるのを止めようがない。
 現在、世界中へ軍隊を派遣しているアメリカでは、従軍体験による心的外傷後ストレス障害(PTSD)などを抱える兵士や元兵士の問題が社会を揺るがせているが、宮柊二も紙一重のところにいた。

 死の2年前、72才の宮柊二は詠んだ。

「中国に兵なりし日の五カ年をしみじみと思う戦争は悪だ」


 私たちは、観念として「いのちは尊い」と思ってはいるが、好き勝手に生きられる生を生きているいのちばかりがいのちなのではない。
 今、こうしている時にも、世界のどこかで、奪われたくないいのちを奪われ、奪われたくない人からいのちを奪わないではいられない人たちが、修羅の世界で心身の血を流しながら、のたうち回っている。
 カエルの卵やオタマジャクシは、誰の眼にも「可愛い」と見えるのではない。
 人の温かな心やネコやイヌやウグイスや桜に救われ感謝しつつ、不条理に翻弄され救われがたい人々のいること、救われがたい社会にしてはならないこと、決して戦争をしてはならないこと、などにも思いをいたす姿勢を忘れないようにしたい。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。



「おん あみりたていせい から うん」※今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y





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