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2014
04.24

死刑回避の余地を持つ文化 ―もう一度、イランの赦しを考える―

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〈河北新報様からお借りして加工しました〉

 私たち人間は、人を殺すことの恐ろしさと罪悪感をよく知っている。
 それでいながら、了解事項としての合的殺人を行わずにはいられない。
 それが、戦争と死刑である。
 4月15日、イスラム教国イランから衝撃的な映像と忘れがたい記事が世界へ発信された。
 ブログ「許された死刑 ―母親の平手打ち―」で紹介したできごとを、もう一度、考えてみたい。(「」内は記事からの引用)

死刑囚の男は2007年にけんか相手を殺したとして、死刑判決を受けた。
 公開処刑が決まり、15日朝、広場で黒い布で目隠しをされ、椅子を使った絞首台に立った。
 しかし、被害者の母が集まった群衆に向け、男を許すとスピーチ。
 絞首台に上がって男の頬を平手打ちすると、夫と共に男の首からロープを外した。」
イランではイスラム(シャリア)に基づき、被害者の家族側からの求めがあれば、刑の執行延期や軽減が認められる。」


 被害者の父親は有名な元サッカー選手で指導者を務めており、被告は教え子の一人だった。
 しかし、いかに師弟の関係であろうと、我が子を殺された親が公衆の面前で相手を赦すに至る過程でどれだけの葛藤があったか、第三者が想像することは不可能である。
 そこを超え、いよいよ死刑というギリギリの場面で、父親も母親も、でき難い決断を行った。
 共同通信社が提供した二枚の映像を観るたびに涙が滲み、忿怒や憎悪から離れられない人間が宥恕(ユウジョ…寛大な心で許すこと)という崇高な行為をなし得る事実に胸が震える。

 上の写真は、死刑寸前の様子である。
 男は何と叫んでいるのだろう。
「お母さん!」か、それとも「アラーアクバル!(アラーは偉大なり)」か。
 正義を実現しようとする屈強な執行官の堂々とした風情が印象的である。
 下の画像に写っている向かって左の女性は息子が赦されたばかりの母親、右の女性は被害者の母親。
 息子は決して帰ってこないのに、自分の判断で殺人犯を生き延びさせてしまい、ただ、泣くしかない母親は哀れである。
 息子がこのまま息をし続けられるようになった母親は何と詫び、何と礼を言えばよいかわからず、共に泣くしかない。
 それにしても、母と子の何と似ていることだろう。

 さて、今回のできごとには一つの背景がある。

「公開処刑前日にはテレビの人気サッカー番組で司会者が死刑回避を訴え、元イラン代表で国民的英雄のアリ・ダエイ氏も呼びかけに加わった。
 罪を許した母は『私がどんな思いをしてきたかわかりますか』と群衆に訴え、死刑回避を求める圧力への複雑な胸中ものぞかせた。」


 死刑回避は、イランでも一つの思潮として存在している。
 我が子を殺された母親としては、憎い犯人を決して赦せない、しかし、夫の立場もあり、死刑回避という公な社会的要請もある。
 どうするか、群衆の面前で決断が問われる。
 その結果はどうなるかわからない。
 こうした文字どおり胸が張り裂け、気が狂わんばかりの状態で、母親はついに、張り手を見舞った。

 もしも我が子に同様のできごとが起こったならば、自分はどうするか、どうできるか?
 僧侶である自分の判断は一つしかないが、応用問題が苦手な妻を説得できるかどうかは、その時になってみなければわからない。
 私個人としては、こんなふうにしか思えない。

 できごとの背景には、もう一つ、宗教がある。
 宗教が社会を律するにまでなっている文化圏にあっては、宗教正義として実現し、を通じて宗教正義が貫かれる。
「目には目を」として、受けた苦しみ以上の罰を相手へ求めない文化だからこそ、被害者に赦す心があるのなら、加害者にも赦される範囲が生じるという考え方は、理の当然となるのだろう。
 赦しが死刑の執行を止める文化と宗教があるということを、私たちはよく考えてみる必要がありはしないだろうか。
 当山は、死刑囚の改悛と被害者側の宥恕によって死刑が回避できるよう願っている。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。



「のうぼう あきゃしゃきゃらばや おん ありきゃ まり ぼり そわか」※今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8





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