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2015
08.02

「自分のせい」とその限度 ―8月の聖語─

201508020005.jpg

 お大師様の言葉です。

「治まるのも乱れるのも、相手のせいや敵のせいではない。
 尊敬を受けるのも背を向けられるのも、すべて自分のせいである。」

 以下は原文です。

「治乱は吾にありて、敵にあらず。
 帰心(キシン)翻意(ホンイ)は己が身のためなり」


 私たちは、ものごとがうまくはこべば自分のせいだと思い、だめになると他人のせいにしたくなります。
 自己中心から抜けられません。
 しかし、冷静に、客観的にできごとを眺めてみると、自分の身口意のはたらきが関係していない現象はなく、自分が行うか、言うか、考えるか、いずれかと無関係に起こる人間関係は一つもありません。
 たとえ自分で言ったことを忘れていても、その事実はできごととして周囲の誰かに何らかの影響を及ぼし、いつの日か、予想もしなかった形で自分へ返ってきて、喜びや悲しみや幸せや苦しみをもたらすものです。
 
 ある動物保護活動家Aさんは言われました。

「今は償いの気持ばかりです。
 これまで亡くなった人(イヌやネコ)たちにああしてやればよかった、こうしてやればよかったという反省や懺悔が絶えません。
 申しわけないことをした過去の人たちへの償いとして、今、ご縁になっている人たちに経験を生かしたお世話をしたいと、ただただ、願っています」

 Aさんは、殺されるいのちを救い、ボランティアで育て、そうした動物たちの里親になって人間が救われるための準備をしています。
 生きものたちが家にいれば、一日たりとて、気は休まりません。
 これほどの献身的活動をしていながらなお、自分のいたらなさをひしひしと心で引き受け、精進の心をますます堅固にしておられます。

 ただし、因果関係には二本のレールがあり、両者が微妙に影響し合いながらこの世を成り立たせています。
 一つは精神世界のレール、もう一つは物質世界のレールです。
 積年の争いがこうじてケンカになり、ケガすれば、精神的世界の因果が強いできごとです。
 地震による落石でいのちを失えば、物質的世界の因果が強いできごとです。
 公害などで病気になれば、両方の因果がからみ合ったできごとです。
 また、人間の誕生には、男女両性の結合という物質世界のできごとと、そこに宿る魂の前世(ゼンセ)における因縁という精神的世界のできごととが精妙なメカニズムでかかわっています。

 ダライ・ラマ法王は、著書『傷ついた日本人へ』において、東日本大震災で被災した人々へ語りかけられました。

「今回、日本の方からこのような質問を頂きました。
東日本大震災は、あまりに悲惨な大災害でした。
 地震だけではなく、津波にも襲われ、原子力事故も起きました。
 これもやはり因果なのでしょうか。
 私たちはそんなに悪いことをしたのでしょうか』
 たしかに、震災がこの世に生じた事象である限り、必ず因があります。
 直接的な地震発生のメカニズムは、すでにある程度解明できているでしょう。
 地球そのものの活動は、カルマと関係のない物質的な因果関係で起こるからです。
 しかし、『震災』という出来事全体、災害全体で考えた場合、物理のメカニズムだけではない複雑な因果がはたらいています。」

「今回の震災でも、地震の衝撃が去った後に、巨大な津波が襲ってきて街全体がのみこまれたり、原発事故による放射能汚染が日本中に広がったりと、被害は二重三重に重なりました。
 多くの人が家族を亡くされたり、家を失ったり、住む場所を追われたりしました。
 被災の状況は人によって様々でしょうが、それぞれ色々なことで傷つき、不安になり、苦労をされたことでしょう。
 これほどの震災となると、その大きさと複雑さゆえ、因果関係を単純に読み解くことは大変難しいことです。
 カルマは長い時間をかけて積み重なって巨大化し、因や縁が非常に複雑に絡まりあいながら、様々な条件がついに揃ってしまった。
 それがあの3月11日だったのです。
 ある因は津波の被害となり、ある因は原発事故となり、そうやって様々な被害が次々引き起こされてしまいました。」

「だからといって、被災者の方が特別に悪いカルマを抱えていたかというと、決してそうではありません。
 このように強大でめったに発生しない出来事は、個人のカルマで引き起こされるレベルではなく、社会全体としてのカルマ、世界共通のカルマのレベルの出来事です。
 大勢の方が一度に同じ類の苦しみを味わったということがその現れでしょう。」

「その因は、規模が大きいだけではなく、はるか昔何世代も前から積み重なっていたものでもあります。
 そう考えれば人類全体の因果応報といえます。
 たとえば、自然を破壊し、コントロールしようとしたことが影響しているのかもしれないし、物質的に豊かな生活を求めすぎたことが影響しているのかもしれない。
 ただ、どれだけ考えたところで、何が因であるかを私たちの頭で理解することは不可能です。」


 ものごとを「自分のせい」と引き受ける一方、因果を広く考える姿勢も保ちたいものです。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。



「おん あみりたていせい から うん」※今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y





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