お大師様が24才で書かれた日本初の比較思想論である『三教指帰(サンゴウシイキ)』に印象的な言葉がある。
「春雷を秘することなかれ」
厳しい冬が去り、春が訪れたことを知らせる春の雷は「虫出しの雷」とも呼ばれる。
安穏と冬眠していた虫たちは皆、驚き、眼をこすりながらノロノロと動き出す。
目覚めの時が来たのだ。
お釈迦様は、たらふく喰い、惰眠を貪り、楽しく暮らすことしか考えない行者へ、厳しく説かれた。
「さあ、起きよ!
何がゆえに眠りこけているのか。
虫たちや貝類が、暗く不浄の場所で安楽を貪っているのと同じではないか!」
肉体的な目覚めよりも、発心(ホッシン…覚悟を決めること)を求めている。
そして、恐懼して礼拝する行者へ説かれた。
「昔、ビパシン仏がおられた頃、汝は出家したものの、やはり我が身をかわいがるばかりで教えを保とうと努力せず、たらふく食べては眠りこけ、無常を観る修行を怠っていた。
死後、ジガバチとなり、5万年の後、今度はどぶ貝となり、やがて樹を喰う虫となった。
その間、暗い場所を好んで我が身を守り、のんびりと隠れ住む暗い場所を我が家として楽しむばかりで、光明を嫌っていた。
ある時、百年の眠りから目覚めたが、過去の罪科にからめとられたままで、輪廻(リンネ)から脱しようとはしなかった。
今、やっと罪科の報いが尽きて出家修行者となれたのだ。
それなのに、惰眠を貪るばかりで真の安寧を求めようとしないとは、何たることか」
連綿と続くいのちの流れの中で、虫や貝などとしてこの世へ生まれた時期もあったはずだ。
ようやく悟り得る人間に生まれたのに、〈これまで同様〉の暮らしをしているとは何たることか。
喰って、寝て、楽をするだけならなぜ〈人間〉と言えるのか。
小生はこの教えが含まれる『法句経(ホックキョウ)』に接した時、身震いすると同時に、猛然と意欲が湧き、全文を書写したものである。
「やらねば!」
やがて、地域のNHK講座で数年、この経典に関する講座を開きもした。
お大師様が『法句経』を念頭に置かれたかどうかは不明だが、自分の発心を確かめつつ冒頭の文を書かれたのではないか。
お釈迦様の教えと共に、決して忘れられない教えである。
原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。
「おん さんまや さとばん」※今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0
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