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2015
11.18

フランスのテロ事件に思う ─真理の扱いについて─

 宗教が人間を駆り立て、科学がより有効に人殺しを行わせ、血が流されている。
 宗教も科学も、それによって人間がよりよく生きられると信じられてここまで来たのではなかったろうか?
 立ち止まってみたい。

1 ダライ・ラマ法王へ真理を説いた10才の子供

 平成16年、ダライ・ラマ法王は、インドのバンガロールにあるチベット難民キャンプの小学校を訪れた。
 10才くらいの子供たちが、模型などを展示して太陽や月の動き方について学んでおり、法王を見かけた一人の女の子が、堂々と説明した。
「私たちチベット人は、日食が起こる時、月が太陽を食べているのだ、と信じていましたが、それは本当ではありません。
 日食とはこうして起こるものなのです」(「ダライ・ラマの『中論』講義」より)
 法王は「本当に可愛らしく思いました」と述べている。

「ある事象が、本当にそうなのかどうかわからないことがありますね。
 そのような場合、何年か前に多くの人たちが同じことを実際に見て、数年後に再びそれが多くの人たちによって観察され、確かにそうだと確認されたなら、多くの人たちの体験と認識によって確認されたことを、事実として受け入れなければなりません」


 仏教の古い世界観は、夜の闇を〈須弥山(シュミセン)という巨大な山の影〉であると説く。
 しかし、科学は夜がどうやって発生するかを解明している。

「仏教のテキストに書かれていることでも、事実に基づいて否定されたなら、それを信じることはできません」


 お釈迦様は、聴いたことが信じられるかどうかは自分でよく考えてみなさい、と学び方を注意した。
 チベット仏教も明快に説く。

「論理と矛盾する見解を受け入れるなら
 将来正しい認識を持つ人にはなれない」


 仏教が他の世界宗教と大きく異なる点の一つはここにある。
 誰の言葉であれ(たとえ神の言葉とされていても)、客観的な視点で〈ものの道理〉に照らし、真偽を確認してから受け入れたい。
 そうして道標となる真理は、それを生きる万人の生へ真実という価値を与える。

2 科学の用い方

 ちなみに、理論物理学者の佐藤文隆京都大学名誉教授はこう言っている。

「時代にもまれ、惨劇や過ちを背負いつつ、それでも懸命に進んでいくのです。
 科学も科学者も」

「科学者という人種は、原爆のような悪魔の知への挑戦であっても、嬉々として熱中してそれを達成する。
 このときに作用したのと同じ能力と情熱が科学のフロントを拡大させている。
 両者に差はなく、どちらにも転化するのです」

「だから、科学はシビリアンコントロールすべきなのです。
 科学者が自由にやればいいというものではない」

「科学の営みには理念や倫理が必要です。
 しかし、科学者が理念の体現者ではない」

「われわれ人間の行為の是非をチェックしてくれる監督者は、われわれのほかには存在していないのだよ。
 われわれ自身で、けなげに、この事態にこたえていかなければならないのだと思う」(「科学にすがるな!」より)


 科学にも、宗教と同じような危険性がある。
 鵜呑みにされた宗教的真理が人を傷つけ殺す場合があるのに似て、裸の真理は諸刃の剣である。

3 小さな結論

 人間を導く宗教は、いつの時代も、説かれた真理が主体的に吟味されつつ信じられねばならない。
 科学者によって発見された真理は、用い方の正当性が常に吟味されねばならない。
 そうすれば宗教も科学も、それに依って人を殺すことなく、普遍的人倫から逸脱せずに発展するのではなかろうか。
 いかに〈今〉、目先の目的の達成を願おうと、選択する手段を選ぶ際に、心の隅に置いておきたい。
 




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。



「おん あみりたていせい から うん」※今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y





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