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2015
11.19

お経のわかりにくさと読み下し文の話 ─村上春樹の翻訳論について─

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〈寺子屋『法楽館』にて〉

 「法会に参加しても、お経がさっぱりわかりません」という声にお応えして、当山では、例祭や年忌供養などの際に、皆さんが祈りの内容をイメージしやすいよう、読み下し文などを用いています。
 一方、胆となる法を結ぶあたりでは、インドの言葉である真言をそのまま用います。
 二種類を用いるのは、文学作品のオリジナルと翻訳の関係に似ています。

 作家村上春樹氏はオリジナルと翻訳について明快に述べています。

「オリジナル・テキストのアップデートは不要です。
 それは時代性を含んで成立しているものですから。
 言葉が古くなっても、表現が古くなっても、事情がかわっても、人の考え方が変わっても、それは不変のオリジナルとして、永遠の定点として存在します
 それが芸術というものです。」(『村上さんのところ』)


 経典も同じです。
 真言は「永遠の定点」であり、中国で翻訳された漢文の経典は、日本人にとって〈準定点〉と言えるのではないでしょうか。
 だからこそ、お大師様は海を越えて唐の国へ渡り、サンスクリット語の原文を読みこなした上で、漢文に訳された経典と修法のお次第を持ち帰りました。
 たとえば般若心経について知りたいならば、お大師様が説かれた『般若心経秘鍵(ヒケン)』に関する書物か、宮坂宥洪師の『般若心経の新世界』が、原文をベースにして掘り下げた研究としてお勧めです。

「しかし翻訳は時代とともに更新されていく必要があります。
 なぜなら翻訳は芸術ではないからです。
 それは技術であり、芸術を運ぶためのヴィークル=乗り物です

 乗り物はより効率的で、よりわかりやすく、より時代の要請に添ったものでなくてはなりません。
 たとえば古い言葉は更新されなくてはなりませんし、表現はより理解しやすいものに変更されなくてはなりません。
 それから、以前にはわかりにくかった様々な情報が、今ではわかるようになったということもあります。」


 氏は、フィッツジェラルドが書いた小説の翻訳として用いられた「フランス大旅行団」という言葉を例示します。
 目の前を通り過ぎて行く旅行団がイメージできなかった氏は原文にあたり、「ツール・ド・フランス」つまり自転車レースのことであると突きとめました。

「この翻訳がなされた当時の日本では、ツール・ド・フランスが何かを知る人はあまりいなかったのでしょう。」

「優れたオリジナル作品は古びませが、翻訳は古びます。
 どんな翻訳だって、多かれ少なかれ古びます。
 僕の翻訳だっていつか古びます。
 翻訳は原理的に更新されることが必要なのです」


 当山は現在のところ、残念ながらサンスクリット語を学んで経文の原文にあたる力がなく、漢文を原文扱いしながら活動しています。
 しかし、修法中にご本尊様と一体になるべきところではオリジナルである真言を用いています。
 また、オリジナルから「よりわかりやすく、より時代の要請に添った」ものへ翻訳する力はなくとも、漢文を「より理解しやすい」読み下し文にして皆さんと共に理解を深めようと努めています。
 次の世代では、「永遠の定点」をよりしっかりと用い、同時に、説かれた真理・真実を誰もがより理解できるよう、新しい翻訳のような作業がなされることを期待しています。
 ご縁の方々と共に、オリジナル・テキストも、翻訳テキストも有効に用いた宗教活動を行い、安心と救済の場であり続けて欲しいと願ってやみません。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。



「おん あみりたていせい から うん」※今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y





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