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2015
12.28

問われる価値と倫理 ─爆弾テロに怯える時代(その3)─

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 なぜ、国家が反国家的な武装集団を抑えられず、爆弾テロが世界中の〈日常〉へ入りこんだのか?
 国際危機グループ(ICG)会長のジャンマリー・ゲーノ氏は朝日新聞のインタビューに答えた。
 以下、要点の抜粋である。

「欧州にもいえることですが、日本はもっと開放されるべきです。
 均一性の高い社会であることは、日本の強みであるとともに、弱みでもあるからです」

「私はフランス人で、仏文化を愛しています。
 同時に、自分の国はもっと多文化になるべきだとも思います。
 日本も同様です。
 私は、日本に行くたびに文化の素晴らしさに感動します。
 その独自性を保ちつつ、他の文化との対話を進めることが、結局は日本の成功につながるでしょう」

「インターネットを発展させたのが、欧州でも日本でもなく米国だったことから、教訓を得るべきです。
 グーグル、アマゾン、フェイスブックと、この分野で米企業が圧倒的なのは、米多文化社会で育まれた刷新の機運と無縁ではありません」


 氏の言う「解放」とは何を指しているのかよくわからない。
 文化の多様性を認めるという点からすれば、日本が〈閉ざしている〉とは思えない。
 キリスト教の教会やイスラム教のモスクがもっと建たないのか、という意味ならば、現状はおのづからそうなっているとしか言いようがない。
 たとえば、日本におけるキリスト教徒の数は、ずっと人口の0・8パーセントを超えないが、自然にそうなっている。
 イスラム教徒も今後、増えはするだろうが、それなりの範囲におさまることだろう。
 欧米と比べてどうなっているかという比較にはあまり意味がないと思われる。

 そもそもキリスト教が土台になってできあがった文化と、神道仏教が土台になってできあがった文化とでは、種々の面で違うのが当然だ。
 日本では、神道仏教そのものが多様性をもって変化、発展しているので、日本に暮らす人々の精神風土が一神教的ではない。
 もしも伝統的な仏教神道に納得できない人びとがそこから離れても、神道系や仏教系の新興宗教に行くケースが多く、新興宗教に入信して問題を感じた場合も、伝統的な神道仏教へ問題の解決を求める人びとの割合が多いものと思われる。
 事実、当山へもそうした人生相談は絶えない。
 新しい宗教には、早く、たくさん信徒を増やしたい、あるいは、入信した信徒を手放したくない、また、他の宗教を攻撃するといった姿勢でさまざまな問題を起こすものもある。

 ただし、移民や政治亡命という政治がらみの観点から解放を考える際は、なかなか難しい。
 何しろ四方を海で閉ざされた狭い国土である。
 しかも限りある国土の4分の3は山地であり、山脈に分断された平野は少ない。
 人口の約半分が住む沖積平野は国土のわずか1割しかなく、そこは地盤が軟弱で地下深くへの開発は進めにくい。
 今は急激な人口減少が深刻な問題となっているが、国土、自然、環境を考えた場合、日本列島における人口規模はどのくらいが適正なのか、という検討も必要ではなかろうか?
 また、ノーベル賞の受章者に見るとおり日本には充分な知力がある。
 必ずしもフランスや米国をモデルにする必要性はないと思われる。

「インターネットの発達で、国家の危機はこの先も拡大するでしょう。
 生身の人間と仮想の空間との間には、すでにずれが生じています。
 それに伴い、現実の政治形態も変わらざるを得ません。
 例えば税制。
 これほど人の移動が頻繁な中でどう徴収するか。
 徴税の難しさは、国家の本質的な危機につながります」


 儲かっている企業が税金を逃れるため、儲けさせてくれている国から登記を移して納税義務を免れようとするなど、資本家と経営者のモラルはどこへ行ったのか。
 税金によってのみ、社会の手助けを必要とする人びとが救われるのであり、そこを無視してさらに私腹を肥やそうするとは情けない。
 別な視点から見ても、この先、どうしても必要なのは「生身の人間」の回復である。
 イジメも、各種のハラスメントも、社会の格差も、他者との〈全人間的〉な、あるいは魂レベルでの接し方がわからなくなっていることと深い関係があると思われる。
 生身の人間同士の通じ合いによるまごころの回復は焦眉の急である。
 相手も自分も同じ人間である、あるいは同じ生きものである、との実感がなければ、本当の思いやりもまごころも動かない。
 ロボットの開発、普及も結構だが、便利になれば心が潤うわけではないことと、心は心によってしか救われないことを忘れないようにしたい。

「私たちが今いるのはルネサンスのような時代です。
 活版印刷術の発明が価値観を根本から変え、戦乱の時代を招き、安定を求める人々の意識を受けて絶対王制や国民国家が生まれました。
 現代もやはり、国家の弱体化の反動から、安定への希求が生まれています。
 20年後には、国家の領土とは異なる枠組みの共同体が機能しているかも知れません」

「『人はパンのみにて生くる者にあらず』と言われるように、利害だけで共同体はつくれません。
 共同体を束ねるための『価値』『倫理』が問われる時代が来るでしょう。
 この分野では現在、(過激な)宗教原理主義とナショナリズムが大手を振っています。
 私たちは、この概念を自分たちの手に取り戻し、ヒューマニズムを通じて再構築しなければなりません」


 交通網が発達し、生身の人間が簡単にどこへでも行けるようになった。
 インターネットが普及し、情報は世界中を一気に駆け巡るようになった。
 確かに国境は揺らいでいるのだろう。
 日本のような島国に暮らしていても、その実感がある。
 しかし、一気に〈地球市民〉になるというわけにはゆかない。
 言葉にせよ、生活習慣にせよ、ある程度共通点を持った人びとと共に形成している社会でないと、一日たりとも、落ちついて生活できない。
 氏はそれを「価値」と「倫理」と言った。
 宗教や思想や慣習が異なれば、それらも異なる。
 しかしそれでもなお、ヒューマニズムという上位の概念によって、違いが対立や争いをもたらさず、それぞれの〈よさ〉を認め合いつつ共生できるよう努めねばならない。
 そうでなければ、信頼に基づく安心な共同体はつくられない。
 自分だけの価値や倫理を硬い棒のように振り回して独善的にふるまい、構成員の間に混乱や憎悪を生む共同体にならぬよう、心したい。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。



「のうぼう あきゃしゃきゃらばや おん ありきゃ まり ぼり そわか」※今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8





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