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2015
12.30

遺影と語る ─ヘルメットのAさん─

20141223000232.jpg

 ご葬儀、あるいはお納骨の時など、たまに、遺影を縁とした会話が生ずる。

 Aさんは還暦を過ぎてもまじめに工事現場ではたらき続け、突然、亡くなった。
 仲間と酒を飲んだりもしたが、なぜか出身地については語らなかったという。
 福祉関係者のみの立ち会いによるお納骨となり、石屋さんが手順を進めた。
 好きだった缶ビールやセンベイが添えられ、「準備が調いました」の声に法具を正面へ移動しようとして、荷物の上へ置かれたままになっている小さな遺影に気づいた。
 工事現場らしい背景で、上半身だけが映ったありきたりのスナップ写真である。
 手に取り、お墓へ立てかけた。
 黄色い安全帽をかぶった痩躯(ソウク)のAさんは陽に焼け、やや得意気に穏やかな笑みを浮かべていた。
 プロとしてはたらく誇りなのか、あるいは年配者になっても仕事に自信があるのか、揺るがぬ何かを感じさせる渋みの伴う佳い顔だった。
 手を合わせた瞬間、思いもよらず、こちらから問いかけが生じた。
「何を埋められたのですか?」
 彼が過去に埋めたのは、よもや人間ではあるまいが、埋めるしかなかったモノなのか?
 それとも、交友関係や家族関係や仕事上のできごとなどの記憶だったのか?
 どんよりとした雪空の下、答が返ってこないまま修法に入り、結界を結び終えた瞬間、急に空から陽光が降って来た。
 Aさんの笑顔は輝きを増した。

 すべてが終わり、礼をして正面から離れようとした時、今度は口からもう一度、喉を擦る空気に伴って問いが出た。
「何を埋められたのですか?」
 数秒、遺影との対面が続いた。
 Aさんは静かに笑ったままだった。
 後片付けの途中で、察知した女性の担当者からおずおずと質問された。
「何を話されたんですか?」
「埋めたものをお訊きしたんですが、わかりませんでした」
 別の担当者が荷物へしまい込もうとしているAさんの写真が視界の隅を通って消えた。
 ありがとう、と聞こえたのは気のせいだったのか……。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。




「おん さんまや さとばん」※今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0





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