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2016
01.13

王と奴隷の話 ─他者を傷つける魔者としての王について─

201601130002.jpg

 39才の作家中村文則氏はかつて、フリーターをしながら作家になるつもりだった。
 その頃は正社員が「特権階級」のようになっており、「面接の段階で人格までも否定され、精神を病んだ友人もいた」という。
 氏は、1月8日付の朝日新聞『不惑を前に僕たちは』において、アルバイトの視点から観た光景を描いている。

「そのコンビニは直営店で、本社がそのまま経営する体制。
 本社勤務の正社員達も売り場にいた。

 正社員達には『特権階級』の意識があったのだろう。
 叱る時に容赦はなかった。
 バイトの女の子が『正社員を舐(な)めるなよ』と怒鳴られていた場面に遭遇した時は本当に驚いた。
 フリーターはちょっと『外れた』人生を歩む夢追い人ではもはやなく、社会では『負け組』のように定義されていた。
 
 派遣のバイトもしたが、そこでは社員が『できない』バイトを見つけいじめていた。
 では正社員達はみな幸福だったのか? 
 同じコンビニで働く正社員の男性が、客として家電量販店におり、そこの店員を相手に怒鳴り散らしているのを見たことがあった。
 コンビニで客から怒鳴られた後、彼は別の店で怒鳴っていたのである。
 不景気であるほど客はに近づき、働く者は奴隷に近づいていく。」


 バイトを苛(イジ)める正社員が客に苛められ、その腹いせとして、他の店で客となって店員を苛める。
 これは修羅と地獄の連鎖ではないか?
 学校で教師を怒鳴りつけるモンスターペアレント、病院で治療に難癖をつけるモンスターペイシェント、皆、同類であろう。
 子供には、家庭で親から圧迫される腹いせに学校で仲間を苛めるといったパターンができ、社会では格差が苛めのパターンをつくり出した。
 〝(奴隷の身から自分を解放するために)どこかでになりたい〟、とは、あまりにも哀れで情けなく、恐ろしい話ではないか。
 しかも、は〈いっとき〉、奴隷は〈日常〉である。
 こんな行動はまったく救いになり得ない。
 それどころか、他者への攻撃性は麻薬のように心を蝕み、やがては〈世間〉そのものへの理不尽な行動に駆り立てるかも知れない。
 また、攻撃性を巧みに利用する煽動者が何かを単純に悪と見立て、群衆を糾合するかも知れない。
 感情優先の思考停止が憎悪差別、排除、争い、戦争へとつながって行きかねない。
 大和の国、日本はどこへ行ってしまったのだろう。

 この〈になりたい〉という心理の動きは深刻に受けとめねばならない。
 自分がどれだけこの心理に影響を受けているかは簡単に調べられる。
 それは、心の中に〝あいつら!〟という他人、他国、他のものへの蔑視や憎悪があるかどうかである。
 また、政治家などが、この心理を利用して何かを企む危険な者であるかどうかを調べる方法も同様である。
 誰かを、他国を、何かを強く蔑視させ、憎悪させようとする者に引きずられれば悲惨な未来を引き寄せることになりかねない。
 かのヒトラーは、その道の天才だったではないか。

 家庭であれ、職場であれ、人間関係を円滑にやって行くには、誠意と智慧と努力が欠かせない。
 1対1の人間関係においてすら、うまくやる単純な方法などというものはない。
 迷いも我慢もつきものだ。
 それなのに誰かを悪者にし、あいつをやっつければよいなどという、社会を、あるいは国際関係を一刀両断するすような単純な議論など、どうして信用できようか?

 今の私たちに最も求められているのは、多くの人々が奴隷化し、〈いっときの〉であることを望まずにはいられない社会の現状をまず、ありのままに把握することではなかろうか?
 そして、この問題を根本から解決しない限り、〈他者を傷つける魔者としての〉という哀しい幻から逃れられないという現実を直視することではなかろうか?
 そして、これをこそ変えねばならないと気づき、その方法を真剣に考えることではなかろうか。
 ゆめゆめ、〈王になりたい〉という心理に絡め取られないよう、煽動者に心理を利用されないよう、心したい。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。



「おん さん ざん ざん さく そわか」※今日の守本尊勢至菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。

https://www.youtube.com/watch?v=qp8h46u4Ja8





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