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2016
01.18

イラク戦争と靖国神社への祈り(その11) ─「先生」とは?─

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〈お焚きあげの本尊お不動様〉

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 平成16年1月、自衛隊イラク派兵に鑑み、仏神と祖霊のご加護で自衛隊員の無事帰還をはかるべく、靖国神社へ向かって托鉢行を始めた。
 世界の情勢が急変を見せ始めた今、そのおりの記録を加筆訂正しながら再掲しておきたい。
 不戦日本の願いを込めて。

先生(3月19日)郡山~矢吹

 午前中に福島県郡山市へ到着し、午後1時から歩き始める。
 風も弱く絶好の日和。
 しかし、不在にしている寺からどんどん連絡が入り、なかなか距離は伸ばせない。
 車で10分の距離は、歩けば1時間以上かかるのだ。

 立ち止まって電話をしていたら、終わるのを待っていたかのように、自転車で通りかかった40歳位の男性から声をかけられた。
「どこへ?」
「靖国神社です」
「私は自転車で、10回行きました」
 そして、いきなり「私はホームレスの〝先生〟を二人知っています」と言う。
 ヨレヨレの托鉢姿は、ホームレスの仲間に見えたのだろうか。
 一人は仙台二高から東大法学部へ進み、役人になったが、上司共々やっていた公金の私的流用が発覚してクビになり、上野あたりにいるという。
 飲食物がいつどこで手に入るかなどの情報をいち早く仲間に伝授しているので「先生」と呼ばれている。
 一方、自分だけうまく窮地を脱した上司は、都内の一等地で豪勢な暮らしをしているらしい。
 同じく仙台二高を出て東大受験に失敗したところから人生のダッチロールが始まった身としては、後輩の浮沈は他人ごとと思えない。
 もう一人は、慶大を出て外国へ留学し、英語仏語がぺらぺら。
 親の資産を元手に外車販売をやっていたが、バブルの崩壊と共に生活を破滅させた。
 今は、利根川あたりで不良外人を相手に中古車のブローカーをやっている。
 それでも、「夢よもう一度」と、勉強を欠かさないという。
 
 無頼だった早大生時代、木刀と本を抱えてバーの用心棒をしていた小生も「先生」と呼ばれていた。
 呼ぶ人物はと言えば、無制限に掛売をしてくれた小さな本屋の店主、マージャン好きで笑顔に凄みがあるヤクザの親分、年増できっぷの良いバーのママ、年から年中「南無妙法蓮華経」と唱えていた冴えない小料理屋の女将、目ばかり大きくて風邪の抜けない痩せた売春婦、そのヒモを自称している青白いゲタ屋の若壇那など。
 あの日々は本当に〈あった〉のだろうか。
 もしかすると、彼らにとって〈先生〉は少々、物珍しい仲間だったのかも知れない。
 小生にとって「先生」と呼ばれることは、自分を保つために欠かせない小さな支えだったのかも知れない。
 単なる知人でしかない40才前の売春婦から低く掠れた声で「先生。今度、私さあ、思い切って~」などと相談された時、彼女はちゃぶ台の向こうにいるが、二人で包まれている一つの空間が持つ確かさは、かけがえのないものだった。
 無論、今の小生にとって、「先生」という呼びかけは、「住職さん」「和尚さん」「お父さん」などと同じ声がけ以上のものでも、以下のものでもない。
 上野と利根川の二人にとってはどうなのだろうか。

 自転車の彼は強い調子で言う。
「私は、先生方のように生きたくはありません。
 自分なら断食に入り、二~三日目の空腹を克服したら、そのまま餓死します」
「そうですか。どうせなら、山形県などの即身仏のように、天下泰平万民富楽を祈りながらおやりになれば」と水を向けたところ、言葉を濁した。
 お互いに住所・氏名・年齢・職業を問わない一期一会だった。

 できごとは風の一過に似て、再び、靖国の英霊に対する誓いの言葉などを口ずさみながら夢中で歩いた。
 最後に「壇信徒の方々の善願成就しますよう、身命を賭して祈念し奉ります」と言い終わった瞬間、頭に衝撃を受けて倒れそうになった。
 歩道へはみ出した大きな縦型カンバンの角にぶつかったのだ。
 網代笠(アジロガサ)が破れた。
 額から血が流れ落ちないのは不思議だった。
 明らかに違法な設置だろう。
 首が痛みボーッとしかけたが、仏神のお試しと感じ、再度「身命を賭して~」と誓い歩き出して間もなく、携帯電話が鳴った。
 信徒Aさんからの依頼ごとをつないでおいたBさんが連絡を待っているとのこと。
 電話をして話し合ったところ、Aさんの希望通りに決着した。
 すぐに報告した電話口の向こうから、Aさんの驚嘆し喜ぶ声が流れて来た。
 善願が一つ、成就した。
 まことにありがたい。

 八方へ意識を広げる隠形流(オンギョウリュウ)の護身の意識から離れれれば、やはり危うい。
 暗くなると、歩道のないバイパスは危険極まりない。
 衣の袖が頻繁に舞い上がる。
 父子が乗った通りすがりの車を停めて宿を訊ねたところ、意外な言葉が返ってきた。
「今、近くの温泉に湯を浴びに行くからご一緒にどうぞ。
 あそこは宿泊もできるはずですよ」
 後部座席に乗り込むと、彼は10年前まで当山の隣町宮城県黒川郡富谷町の住人だった。
 そう広くない車中で、宮床と七ツ森の話に花が咲いた。
 
 宿の鏡に映った額には、逆L字形に血の塊が盛り上がっていた。
 網代笠の布は額のところで血だらけ。
 不注意の証しである。
 今日は半日も歩かないのに矢吹近辺まで20㎞以上進んだ。
 明日はもっとスピードを上げたい。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。



「おん あみりたていせい から うん」※今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y





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