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2016
01.22

映画『シーズンズ』 ─アポロ11号・聖フランチェスコ・緑の福祉国家を想う─

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 映画『シーズンズ ─2万年の地球旅行─』を観た。
 ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾの指揮のもと、最新テクノロジーを駆使し、歴史学、動物行動学、人類学、哲学、民俗学、植物学などの学者たちが力を合わせて創った。
 2万年の歴史を淡々と紡ぎ、ストーリー全体が知性という静かな光に浮かび上がっている。
 動物たちは環境に耐え、対応し、食べ、生殖の役割を果たしつつ、いのちをつないできた。
 人間も同じである。
 ただし、人間のみが道具を用いて環境を変え、生きもの全体を支配しようとしている。
 オフィシャルサイトによれば、以下の5編に分かれている。
 

1 すべてが凍てつく氷河期

 2万年前、およそ7万年前から続いてきた最終氷期の中で、最も厳しい寒さに見舞われたのが、この時期だった。
 永遠に続くかのような冬。荒れ狂う猛吹雪の中、ジャコウウシ、トナカイなどの動物たちが亡者のような姿で長い列を作り、頭を低く垂れ、蹄で凍った大地をひっかきながら重い足取りで進む。
 おびただしい数の動物の群れが、氷のように冷たい風に逆らいながら、わずかながらの食料を探している。
 極寒の地で懸命に卵を温めるシロフクロウもいる。

2 氷河期の終わり、生命の芽吹き

 およそ1万年前、太陽をまわる地球の軌道が変化し、気温が急上昇。
 大地を覆う氷から解放され、氷河期が終わる。
 氷河期を生きた動物たちは、北へ向かう長い旅がはじまる。
 急速に緑の海が大陸全土に広がり、深い森は新しい命に満ちあふれ、鳥たちはさえずり、カエルは鳴き、虫たちは、あらゆる音を奏でる。
 哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類があちこちを動き回る。

3 四季のはじまり、森の黄金時代

 四季のはじまりにより、春に新たな生命が誕生し、夏に誕生した生命が躍動し、秋に繁殖の時期を迎え、厳しい冬に備える、という生命のサイクルがはじまる。
 雨風をしのぎ、夏の強い日差しから守る樹木が豊かな、生物多様性に富んだ森は、動物たちの楽園だ。
 木の幹に登り、枯れ葉を引っかき回し、池を泳ぎ、落ち葉や泉で踊り、それぞれが家族でじゃれあう。
 巡りゆく季節のリズムに向かって行進し、格闘し、求愛する。
 自然は、捕食者であるクマ、オオカミ、オオヤマネコに食物を与える。
 豊かな時代、平和な時代。

4 森のいち住人であった人間の変化

 動物たちが森の全てを謳歌できる日々に変化が訪れる。
 木々は人間の斧で打ち倒されていく。
 人間は、土地を耕し、種を蒔き、農民の集落を形成した。
 そして、牛やブタ、ヤギなどを家畜にしてゆく。
 森は田畑に取って代わり、バイソンのような大型の動物は大陸のはずれに逃げ込むしかない。
 しかし、その他の動物にとっては、集落の生活が恵みとなる。
 生け垣には小鳥のさえずりが響き渡り、黄金に輝く稲の実り、牧草地では虫たちが音を立てる。
 陽光きらめく池は自らを飾りたて、魚、昆虫、カエル、水鳥たちを喜ばせる。

5 人間と動物、共生の未来はあるのか

 人間たちの生活圏はますます広がっていく。
 凄まじい勢いで文明を発展させる一方で、必要以上に自然を怖れ、すべてを支配しようとした。
 人間にとって有害だと思われる、クマ、オオカミ、フクロウ、キツネなど、家畜を狙う多くの動物を駆除していった。
 しかし、人間のつくった田園地帯で暮らすことを選択した生き物たちもいた。
 そこでは、森とはまったく違う新しい形で、それぞれの生き物たちが助け合い、共生している。時代の変化に合わせ、その環境に適応し、たくましく生きている。


 この映画で特筆すべきは、ありのままの自然を描きながらも、弱肉強食と生殖活動の場面において適度な抑制がはたらいており、それが全体へ聖性をもたらしているところにある。
 人類への警告においてもまた、声高で粗野な議論が横行する時代には珍しく、客観性を重んじる抑制が感じられる。
 そして、映像としても、有無を言わさぬ感覚への刺激ではなく、激動し緊張する場面を含め、まるでバロック音楽を聴くような諧調に包まれている。

 最も印象に残ったのは、人間が、生きものたちの世界全体への無知から、生活圏を脅かす動物たちに過剰な怖れを抱き、殺し尽くそうとしてきたことである。
 また、より便利で有効な自然の〈活用〉をもくろみ、科学物質に頼ることの危険性である。
 これらが種の絶滅や生態系の破壊をもたらしつつあることの恐ろしさは、筆舌に尽くしがたい。

 人類を月へ送るためのアポロ計画に深く関与したヴェルナー・フォン・ブラウン氏は、アポロ11号打ち上げの前日、こう語っている。

「重要さにおいては、海の生物が陸に這い上がってきた時の、進化におけるあの瞬間に等しいと、私は思います」
「われわれは神によって与えられたこの頭脳と両の手を、極限にまで伸ばしているのです。
 われわれが達成するものは、人間の進化における完全に新しい一歩であります」


 氏はかつて、ナチスドイツが兵器としてのロケットを開発することに非協力的であるとして、ナチ親衛隊刑務所に投獄された経歴を持つ。
 しかし、人間はどう「進化」しているのだろう?
 いつの時代も科学技術の最先端は兵器の開発に結びついてきた。
 また、動物たちを殺してきた〈他者に無知で、過剰に怖れ、排除する〉といった姿勢は今や、同じ人間同士の間で頑強になり、世界は戦争の色を濃くしている。
 モノは作られるモノとして誰かの所有に属し、所有者はそれを用いる権利があるという思想が〈自由〉の観念の根底にある。
 だから、地球上の自然はもちろん、宇宙にある星すらも自由な獲得競争の対象であると考えて「進化」をすすめようとするのだろうが、果たしてそれは私たちと生きものたちと自然全体にとって幸せをもたらす道なのだろうか?

 およそ800年前、アッシジの聖フランチェスコは、神を畏敬するように自然を畏敬した。
 木は、再生のために根などを残して伐り、野原は、野性のものたちのために充分、残した上で野菜作りの畑とした。
 自然は人間が所有するものではなく、必要最低限、使わせていただくものであるという生き方に徹した。
 オオカミやキジやウサギやコオロギからも慕われたという。

 1998年に「環境法典」を制定したスウェーデンは「緑の福祉国家」を目指し、GDPを着実に伸ばす工業国であるにもかかわらず、ここ40年、エネルギー消費量はほぼ横ばいである。
 原発を凌ぐほどの水力発電があり、これからは風力発電の躍進が期待されている。
 2003年に施行された「電力免許状」は、水力や風力はもちろん、地熱、太陽エネルギー、バイオ燃料など、再生可能エネルギーを用いた電力が高めの値段で供給できるシステムである。
 また、電力会社を自由に選べる国民がそうした国家の方向性を支え、多数の国民の希望に添ったエネルギー政策が行われている。
 同国にある「自然享受権」は、自然や風景が国民共有のものであるというコンセンサスがあることを示している。

 最後に作家でナチュラリストC.W.ニコル氏のコメントを記しておきたい。

「どんなに言葉を重ねてもこの映画の素晴らしさを表現できないのがもどかしい。
 今まで見たドキュメンタリー映画の最高峰だ。
 制作者が向ける動物への目線と愛情に心が震える。
 観た人は『この美しいエデンの園である地球を守りたい』ときっと思うだろう。
 日本人の全員に見てほしい映画だ。」


 実際に観た者として、まったく同感である。
 一人でも多くの方々に観ていただきたいと願ってやまない。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。




「おん あらはしゃのう」
※今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM





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