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2016
03.21

【現代の偉人伝】第222話 ─仏像の制作・修復に励む柳本伊左雄教授─

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陸前高田市の悲母観音

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 身延山大学に仏像制作修復を行う学部がある。
 柳本伊左雄教授(65才)率いる仏教学部は、東洋文化研究所仏像制作修復室を設け、学生が仏像に取り組んでいる。
 各地の芸術大学以外では、おそらく日本で唯一のグループだろう。

 柳本教授にお会いした。
 今の日本では、仏師という職業が絶滅しかかっていると言う。
 中国などで安価なものが造られ、仕事として成り立たなくなったのだ。
 そうした現状に危機感を抱いた教授は、仏像制作で生きて行ける若者を育てようと、身延山大学に実践する講座を設け、実地指導に当たっている。

 ラオス世界遺産仏像修復事業は、そうした一環として18年の長きにわたって続けられてきた。
 平成25年2月に、世界遺産地区ヴィスンナラート寺院で行われた15周年大法要では、当地の情報文化観光省の工芸局長や日本国全権大使など100名を超える参加者が集まった。
 その様子が東洋文化研究所仏像制作修復室発行の「のみおと 工房便り第二号」に書かれている。

「現在のラオス人民民主共和国はフランス植民地時代、ベトナム戦争、独立戦争と長きにわたっての苦難の時代を経て、1975年に建国されました。
 その歴史のなかで仏像制作修復の伝統的技法は残念ながら途絶えてしまっている現状です。
 本学の行っている仏像修復事業は伝統技法と文化の再興を目指し15年間事業を実施して参りました。
 修復の習慣が無い(失われた)、技術者がいない、場所が無い、物が無い、全てが揃わぬ中でも少しずつ着実に行ってきた結果、ラオス人技術者7名が育ち始め、修復事業は40体を超えております(1014年3月時点)。
 更にはここ2年間ではラオス政府や民間からの仏像修復依頼が増えてきており、修復の輪が少しずつ広がりを見せています。」


 ところで、戦争で破壊された仏像が日本人の協力で徐々に修復され、仏教が国教として国民の確かな柱となっているラオスは今、中国の脅威にさらされている。
 人口約600万人のラオスに100万人の中国人を送り込む計画が着々と進み、すでに首都ビエンチャンなどには中国の企業が活動し、中国人が建物を造り、住み、中国料理を食べ、中国人の間で中国マネーが回る地域もできている。
 この状態を放置できないアメリカが介入し、やがて両国の野望によって何らかの形で代理戦争が始まる可能性は否定できない。
 しかし、柳本教授はそれでもなお、「今ではもう文献のない、失われつつある技法」で450年も前に制作された仏像の修復などに今後も取り組んで行こうとしている。

 柳本教授のチームは平成27年3月11日、岩手県陸前高田市の妙恩寺へ悲母観音を安置した。
 堂宇を造ったのは、当山の講堂を手がけた寺院サービス(株)である。
 殉難者の御霊を慰霊し、地域を守る観音様はどっしりして、お優しくも頼もしい。
 優しさの極みが〈守護〉にあることを教えている。
 柳本教授は言う。
「今後もラオスでの活動を続けたい。
 学生たちがそれぞれ、仏像にたずさわりながら生きて行けるような道筋をつくり、日本で消滅しかけている技術と文化を継承して行きたい。」

 うち合わせのために当山を訪れた教授は、自らユニック車のハンドルを握り、お弟子さんたちが乗る乗用車を先導して山梨県へ向かわれた。
 これからも、ますますよい仕事をされるよう、お弟子さんたちが無事、巣立って行くよう祈ってやまない。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。



「のうぼう あきゃしゃきゃらばや おん ありきゃ まり ぼり そわか」※今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8





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