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2016
03.30

政治不信の先に待つものは? ─お互いを尊び合おう─

2016-03-30-0002.jpg

 当山は宮城県黒川郡大和町の宮床という田舎にある。
 近くではクマが出没して子供たちを脅かし、イノシシに畑がやられたりする。
 3月27日、町議会議員選挙の投票があった。
 投票率は53・53パーセント。
 4年前の59・08パーセント、8年前の65・24パーセントと比べると、まさに〈つるべ落とし〉である。

 ある候補者は、選挙中に述懐した。
「こんな選挙は経験がない。
 なにしろ、畑仕事をしている人のすぐそばを通っても、まったく知らん顔の人が結構いるし、町場でも反応が少ない。
 世の中がすっかり変わった。
 恐ろしい気がする」

 事実、ほとんどの現役当選者は、前回の選挙よりも獲得票数を減らした。
 大和町は大企業の進出がめざましく、人口も増えている勢いのある地域なのに、候補者が肌で感じたとおり、政治への関心は薄れる一方である。

 法学博士樋口陽一氏の言葉を思い出す。

「競争の末に勝ち組に振り落とされた弱い者も幸福追求ができるよう、社会権というものを深める方向でこれまで考えてはきたけれど、新自由主義的な憲法観が全面化されれば、崩れてしまう。
 そんな状況下では、個人は個人であることのつらさや寂しさに耐えられない。
 そこで起こるのは、集団の温かみに救いを求めるということですね


 ここで指摘されている状況は深刻だ。
 簡単に使い捨てられる労働者は、生きて行く糧を得るという生活の基盤が常に脅かされ、不安を持っている。
 また、子供が遠くへ巣立ち、夫婦は離婚が珍しくない現在、家庭や家族は心の止まり木としての役割を薄めつつある。
 近年、〈個の自立〉を求めて来た歴史は、無慈悲新自由主義と、自由を第一とする生活形態の激変により、〈個の不安定〉や〈個の孤独〉を深め、耐えられないほどの「つらさや寂しさ」をもたらしつつある。
 しかも、共同体としての社会を動かす人々に、その大役にふさわしい人品や素養や識見を感じられないなら、私たちはどうなるのだろう。
 北海道を司る大臣が北方四島の名前を読めなかったり、次の参議院議員選挙で圧倒的な票数をかき集めると目されていた人物が血眼になって不倫に精力を傾けていたなど、政界に棲む人物たちの低レベルぶりに国民はあきれ果てている。

 選挙での投票が役に立たないならば、私たちは、私たちの手で社会を創り、保つことができない。
 権力者はますます権力を強め、資本家はますます富を蓄えるだろう。
 人間は〈より多く〉と求める存在であり、権力者はより権力をふるいたく、資本家は富をより膨らませたく、その歯止めがどこにもなくなるからである。
 そして無力な個人は、何か「集団の温かみ」を求めずにはいられない……。

 そこへ〈美しい国家〉や〈信じれば救われる宗教〉といった〈疑似家族〉が提供されたなら、私たちは健全に〈個〉を保てるだろうか?
 尊厳ある者として互いに互いを真に尊び合うまっとうな個人であり続けられるだろうか?
 アメリカではトランプ氏が強い国家と正しい宗教を掲げ、躍進しているが、その一方では深刻な対立や憎悪や亀裂を招いている。
 自分の国や自分の信じる宗教を絶対化し、他国や自分の信じない宗教を尊ばない指導者の姿は、恐ろしいことに国民の熱狂的同調を生みつつある。

 これは決して対岸の火事ではない。
 確かに今は「個人であることのつらさや寂しさ」に耐え難い時代である。
 社会と私たちの心に〈無慈悲〉という化けものが育ち、絶望という闇が膨らみつつある。
 作家辺見庸氏は書いた。

「現状は全く絶望的ではありますが、絶望と希望の境をどこに見つけるか。
 簡単なようで、これは簡単ではない。」


 戦争体験者のAさんは言う。

「私は一票を入れるためだけに生きています。」


 一宗教者として思う。
 自分の心にある〈無慈悲〉を直視し、社会の〈無慈悲〉を見逃さず、慈悲と智慧で消すための長い努力を続けよう。
 誰かから与えられた国家像や、食虫植物のような閉じた宗教に引き込まれず、互いを尊び合う社会と人間を目ざそう。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。



「おん あみりたていせい から うん」※今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y





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