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2016
04.12

『生存圏』『破壊的国家』『科学の否定』と向きあう ─ティモシー・スナイダー教授の衝撃─

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 エール大学教授ティモシー・スナイダー氏は、この先、起こり得る大量虐殺について警告を発した。
 その新著『ブラック・アース』について、朝日新聞の論説委員国末憲人がインタビューを行った。
 以下、4月5日付の記事「ホロコーストの教訓」を抜粋しつつ論点をたどってみよう。

 氏は、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)について、人類はきちんと学んでいないと言う。

「欧米でも、ホロコーストはドイツ国家が関与し、ドイツのユダヤ人の身の上に起きた悲劇だと思われてきました。
 実際には、犠牲者の大半がドイツとは関係ない。
 殺されたユダヤ人の97%は、当時のドイツの外にいたのです


「本当に何が起きたのか、実はまだ知られていない。」


 まったく驚かされた。
 なぜ、こうした事実が広く知られていなかったのだろうか?

「アウシュビッツは、100万人ものユダヤ人が殺された現場です。
 ただ、1941年に始まる大量虐殺で、ここが舞台になったのは主に末期の43~44年です。
 なぜ虐殺が始まったのかは、この施設を見てもわかりません」

実際には、犠牲者の約半数が収容所ではなく、公衆の面前で殺されました。
 何が進行しているのか、市民は知っていたのです。」


 ドイツだけでなくさまざまな国の人々が注視する中で大量虐殺は起こった。
 ユダヤ人たちは強権的に連行された密室の中で皆殺しにされたというイメージとかけ離れた実態だ。



「ヒトラーをナショナリストと見なすのは間違いです。
 人種に基づいた帝国を築こうとした彼は、もっと過激な何者かです。
 彼にとって、国家はそのための手段に過ぎなかった。
 ドイツで国家の力が強大化したからホロコーストが起きたと考えるのは、誤りです」

「38~39年のドイツは、当時のソ連ほど強圧的ではありませんでした。
 虐殺を本格化させるのは、ドイツが国境を越えて外に出た後です。
 そこは、バルト3国やポーランドの国家がソ連侵攻で破壊されて生まれた無法地帯でした。
 だからこそユダヤ人虐殺が可能になった。
 国家の有無がホロコーストの決め手となったのです

「つまり、直接ホロコーストの責任を負うわけではないにしても、ソ連が演じた役割は大きい。
 ドイツの求人に応じて虐殺に協力したのも、ソ連の市民でした」


 国家が崩壊した無法地帯で、人々は特定の人々を虐殺する……。
 実行者は「私たちとさほど異ならない人だ」という。
 それはたった今、アフリカや中東の諸国で起こっている光景そのものだ。
 ならば、私たちもいつか同じ道をたどるのではないか。



「現代社会は『犠牲者の立場』に配慮します。
 問題は、『犠牲者だ』と考えること自体が純朴とはいえないこと。
 誰かを攻撃する人々の大半が、自分たちを『犠牲者』と位置づけるからです。
 ナチスも同様でした。
 国際的な陰謀にさらされていると考えたナチスは、すべてを『自分たちを守る行為』として正当化したのです」


 今、北朝鮮は「アメリカから偉大な祖国を守るため」と称して開発を進めている。
 中国もまた「死活的利益を守る」ためと称して海洋進出を進めている。
 ロシアは「専横と暴力からクリミア住民を守る」という上院の決議を元にクリミアへ出兵した。
 常に、「守る」という錦の御旗が立てられる。

「では、何が普通の人を人殺しに変えるのか。
 ドイツの歴史家の多くは、訓練と思想だと考えました。
 確かにそういう面はありますが、私はここでも『国家の破壊』が持つ重要性を指摘したい」

「国家が破壊されなかった西側のフランス国内と、国家が破壊された東側のポーランドやソ連領内とで、ドイツ人は全く違う振る舞い方をしました。
 国家に伴う諸制度が消滅し、無法地帯に陥った東側で不安にさいなまれた人々に、ドイツ人は『国家を再建する代わりに、ユダヤ人攻撃に協力せよ』とささやいたのです。 
 国家の崩壊は、人が殺人者になるうえでの社会学的な条件です。




 私たちはホロコーストから何を学ぶべきか?

「私たちはホロコーストを理念、思想、意図といった面から分析するあまり、物質的な面から分析する営みをおろそかにしてきました。
 しかし、ヒトラーが重視したのは物質面。
 すなわち、限られた資源、土地、食糧を巡る戦いです。
『ドイツ人の絶え間ない闘争をユダヤ人の倫理観や法感覚が妨げている』との考えが、ヒトラーの反ユダヤ主義の基本でした」

「多くのユダヤ人が暮らすウクライナや東欧にドイツが進出したのは、何としてでも豊かな土地を征服し、食糧を確保したいという思いからです。
 生き残りの危機が迫っていると信じ込むようなパニックに陥ったことに、ドイツの問題があった。
 この種の精神状態に加え、国家が消滅した環境、特定の集団を攻撃する思想が重なった時、虐殺が起きるといえます


「ルワンダやスーダンで起きた大虐殺も、生存パニックと国家の崩壊に起因しています。
 現在のシリアにも、国家崩壊の状況がうかがえる。
(イラク戦争で)米国がイラクの体制を転覆させた時も、同様の問題を引き起こしました」


 危機が迫っていると信じ、特定の人々を排斥する動きは、アメリカやフランスを初め世界各国で起きつつある。
 アメリカ大統領選挙では何が叫ばれているか。
 氏は、ここから衝撃的な予想を行う。

「日米欧では、食糧問題をそれほど重大な政治課題だとは考えません。
 でも、例えば中国のような国は、30~40年後に(ナチス・ドイツと)同じような視点から世界を見ていないとも限りません」

「これはもちろん、予言ではありません。
 いくつかの要因が存在することを指摘しただけです。
 大躍進や文化大革命で多数の犠牲を出した経験がある中国は、ナチス・ドイツが30年代に悩んだ『生存圏』に似た問題を抱えています」

「中国の指導部は、消費社会としての生活水準を守ろうと、気を使っています。
 だから、食糧問題には非常に敏感です。
 50年後、中国が土地不足と水質汚染に見舞われると何が起きるか、想像に難くありません。
 一方で、中国が再生可能エネルギーの開発に非常に熱心であるのは、希望を持てます」

「ロシアの行動にはもっと懸念を抱きます。
 2013年からのウクライナ危機以来、ロシアは主権国家をないがしろにする態度を取っているからです。
 ロシアはチェチェンやウクライナで民間に大きな犠牲をもたらし、その後シリアで多数の市民を殺害しています」


 そして、アメリカも大量虐殺にかかわる可能性があると指摘している。

「ヒトラーの『生存圏』の発想の背景には科学不信がありました。
 ヒトラーにとって、科学はユダヤ人がつくった妄想でした。
 現在の米国も、少し似た意識を持っています。
 つまり、 科学の基礎を信じようとしない。
 大惨事を防ぐための技術を認めないのです」


 アメリカ人の中では、進化論を否定し、キリストの復活を事実であると信じる人の割合がずば抜けて多い。
 また、地球温暖化も信じない人々が多いため、中国共々、そうした環境保護の国際組織から一定の距離を置いている。
 ちなみに、3年前に発表された二酸化炭素の排出量における各国の割合は以下のとおり。

・中国:28.7パーセント
・アメリカ:15.7
・インド:5.8
・ロシア:5。0
・日本:3.7
・ドイツ:2.3
・韓国:1.8
・メキシコ:1.5
・ブラジル:1.4
・イギリス:1.4

「問題はむしろ、共和党の内部にあるでしょう。
 米国は先進国で唯一、人口の相当部分が地球温暖化を信じようとしない国です。
 中国には『生存圏』問題があり、ロシアは『破壊的国家』だとすると、米国のお家芸は『科学の否定』です


 これまでに、こうした三国の文化的・政治的問題点を指摘した人はいただろうか。
 ちなみに、弾頭の保有量は、およそ以下のとおりと推定されている

・ロシア:18000基
・アメリカ:10000基
・中国:400基
・フランス:350基
・イギリス:200基
・インドとパキスタン合計:100基

「米国がイラクを攻めた時のことを思い出してください。
 国家が破壊されたイラクで、米兵は故郷では決してしない虐待行為に手を染めました。
 米国は豊かで安定した大国なのに、すでに異常なことをしでかしているのです。

 ホロコーストを正しく理解していたら、米国はイラクを破壊しようなどと考えなかったに違いありません」

「私たち個人がすべきことは、自らの歴史の暗部をしっかりと見つめることです。
 それは『日本は正しい』『米国が悪い』などという評価とは次元が違う話です。
 自分の国が他の国の人々に何をしたのか。
 世論操作を受けないためにも、私たち一人ひとりがじっくり考えるべきでしょう


ホロコーストは歴史上の特異な出来事だと思われています。
 でも、それを引き起こした原因は今もあちこちに見いだせるのです


 私たちが学校で習った範囲では、〈ホロコーストはヒットラーという悪魔的人物が独裁的に行った特異な仕業である〉というイメージだった。
 しかし、人間が人間を大量に虐殺するという行為は確かに世界中で行われてきた。
 それはいまだに行われており、アメリカ・ロシア・中国を含む各国にすら、これから起こり得る深刻な「原因」が潜んでいる。
 私たち一人一人が目を見開き、一人間として何をなすべきか、日本はいかなる道を歩むべきか、自分の頭でよく考えてみたい。
 幸いにして、今の日本は、「生存権」確保への恐怖、「国家破壊」への願望、「科学否定」の文化、いずれとも縁遠い状態にある。
 そうしたものに巻き込まれず、日本と日本人をいかして保って行くか、課題は重い。




 原発事故の早期終息のため、復興へのご加護のため、般若心経の祈りを続けましょう。
 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。




「おん ばざら たらま きりく」※今日の守本尊千手観音様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IvMea3W6ZP0





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