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2016
07.28

Q&A(その27)生まれ変わりって困りますか? ─最も困る再死(サイシ)─

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〈昭和の最後を飾る大傑作、杉浦日向子の『百物語』より「亡妻の姿の話」〉

 どうやら、〈再死〉という言葉はあまり知られていないらしい。

1 生まれ変わり死に変わり

 人が死ねば生まれ変わるという考え方は、古代インドのみでなく、世界中にあったらしい。
 この輪廻転生(リンネテンショウ)自体は、多くの人にとって〝そうかなあ〟で済むだろうし、志を立てた人なら〝この世でやり残した部分は来世でやろう〟と希望をつなぐかも知れない。
 小生も後者に近い感覚を持っているが、こうした受けとめ方だけなら、仏教は生まれなかっただろう。

 なぜ、インドの人々は輪廻転生を怖れたのか?
 一面の〈生まれ変わり〉はまだいい。
 生まれ変わりにはこんな想像も成り立つ。
 もし自分が稲に生まれ変わったなら、孫やひ孫の口に入る一粒になりたいし、蚊に生まれ変わったなら、孫やひ孫を刺さずに、世界中の誰にも知られることなく飢え死にしたい。
 お釈迦様もお大師様も、死後、いのちある何になって生まれ変わるかは、いかなる業(ゴウ)をつくるかによって決まると説かれており、いのちの世界はDNAの範疇を超えているので、決して荒唐無稽な話ではない。

2 死ねば無になるか

 今から約100年前に活躍したフランスの哲学者アンリ=ルイ・ベルグソンは、こう言った。

「もし精神の生命が頭脳の生命からはみ出るとしたら、もし頭脳は意識の中で行われていることの一小部分だけを運動に移すにすぎないとすれば、死後の存続は確からしいということになり、それを肯定する人よりもむしろ否定する人の方が証明を必要とすることになる。
 なぜかというと、死後に意識が消滅すると信ずるための唯一の理由は肉体が破壊されるというだけのことだが、もし意識の大部分が肉体から独立しているということが確証されるとすれば、そういう理由はもはや価値がない」


 つまり、死後に意識もなくなるだろうと考える前提として、意識が100パーセント肉体という存在に包み込まれていなければならないが、意識が肉体から〈はみ出している〉とするならば、肉体の死は、そのまま意識の消滅につながらないと言うのだ。
 だから、目や耳や手足などの活動から遠く離れた世界まで届き、他者とつながりもする意識が、肉体の死と共になくなると主張するならば、それを証明せなばならない。
 意識が死後に消滅することは決して自明の理ではなく、むしろ、「死後の存続」を否定するならその根拠を示さねばならないのだ。

3 再死の恐怖

 本題に戻ろう。
 輪廻転生が怖れられたのはきっと、〈死に変わり〉が耐えられなかったのだろう。
 死は生きとし生けるものにとって最大の危機であり、恐怖でもある。
 だから、古代インドでバラモンがこう説いた効果は大きかった。

「バラモンに導かれた正しい祭祀を行わない者は、死後、再び死を繰り返さねばならない」

「男子の相続者がないと家の祭祀が断絶し、死者は地獄へ堕ちねばならない」


 お釈迦様は、こうした精神風土の中で、生まれや祭祀ではなく、個人個人の生き方がこの世での幸不幸につながり、来世での苦楽につながると説かれた。
 当時、お釈迦様が立ち向かった相手の大きさはとても計り知れるものではない。

 私たちにとっても〈再死〉は恐ろしい。
 苦しみ、息絶える断末魔が繰り返されることを想像して平気な人はいるだろうか?
 四苦八苦の中で、死ぬままならなさほど、私たちを怖れさせ、苦しめるものはない。
 それは、万人にとって否応ない宿命なのだ。

 だから、お釈迦様は、究極の救済として輪廻転生の鎖から解き放たれ、苦から脱する解脱(ゲダツ)を説かれた。
 輪廻転生の世界は広大であり、一個の生きもののDNAが問題ではない。
 肉体に宿ったいのちと心は肉体の耐用年数が過ぎれば、いのちと心の世界へ還って行く。
 そしていつか、新たな肉体が形づくられる時、その肉体にふさわしいものとしていのちと心が宿り、はたらき出す。
 そこには必ず苦という〈ままならなさ〉が影のように貼り付いている。
 死に変わりを厭うなら、苦を脱したいなら、このままではいられない。

 仏教の説く理を信じる方も、信じられない方も、無関心な方もおられよう。
 ただ、いかなる人も死を免れない中で、もしも〈再死〉があり得たとしたらどうか、これだけは想像してみてもよいのではなかろうか。
 これこそが最も困ることではなかろうか?




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 般若心経の音声はこちらからどうぞ。(祈願の太鼓が入っています)
 お聴きいただくには 音楽再生ソフトが必要です。お持ちでない方は無料でWindows Media Player がダウンロードできます。こちらからどうぞ。



「おん あみりたていせい から うん」※今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y





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